今週のお題「馬」
今年は午年です。
昨年末、3ヶ月かけた卒業論文をようやく書き終えました。
卒論執筆で得たもの
調べる力・考察力
単に情報を集めるだけであれば、現在はDeep ResearchのようなAIツールで十分に可能です。概要把握や初期リサーチの段階では便利で、難解な言葉で書かれた情報へのアクセスのハードルが大きく下がったのは事実です。
ただし、それはあくまで入口に過ぎず、情報の精度や信頼性まで担保してくれるわけではありません。どの研究を先行研究として採用するのか、その研究がどの立場に基づいて書かれているのか、といった判断は、依然として人間に委ねられています。
Deep Researchの結果を検証するためにも、先行研究を自分の目で確認し、内容を精査する作業は大切です。
こうした作業を通じて、データや文献から因果関係や傾向を読み解く考察力も身に付きます。
これから卒論を書く人へ
作業環境
これから卒業論文を書く人に伝えたいのは、まず作業環境をシンプルにすることです。
文系の場合、本文の執筆は WordかGoogleドキュメントのいずれか一つに作業環境を限定して進めることをおすすめします。
PCではWord、スマートフォンではGoogleドキュメントといった形で異なる文書作成ソフトを併用すると、レイアウトや書式が崩れて修正が面倒です。そのため、執筆初期の段階で一本化しておくほうが、作業効率の面でも管理の面でも合理的です*1。
また、対話型生成AIはゴーストライターではなく、壁打ち相手として使うのが現実的です。構成の相談や言い回しの確認、自分の考えを整理する用途に限れば心強い助手になります。
アンケート
文系卒論でよく使われるアンケート調査ですが、あくまで補助的な資料として位置づけるのが無難です。特に、誰でも閲覧できるSNS上で回答を募る場合は、サンプルの偏りや信頼性の問題から、主張の根拠をすべてアンケートの結果に依存しない構成を意識したほうが安全です。
私はゼミの担当教員に依頼し、大学の授業でGoogleフォームのQRコードを配布してもらい、効率よく回答を集めることができました。
タイトル
タイトルは、本文を書き進めた後に決めるほうが合理的です。調査や分析を進める過程で、当初想定していた論点や結論が変化することも十分にあり得ます。
完璧は不要
卒論は新規性や学術的貢献よりも、研究の過程を一通り疑似体験することが重視されています。自分の能力や時間的制約でできなかったことは正直に「今後の課題」や「研究の限界」として書けば十分です。
便利ツール
Google Scholar
先行研究探しは、基本的にGoogle Scholar一本で進めていました。学術論文や専門的な文献を横断的に検索できるので、膨大な量の論文の中から目的の先行研究を探し出すには有効です。
ただし、研究テーマが中国関連だったため、知網(CNKI)も併用しています。中国国内の研究動向については、Google Scholarだけでは拾いきれない可能性があるためです。
NotebookLM
NotebookLMは、Geminiを用いたAIパートナーです。先行研究として収集した論文PDFをそのまま取り込んで使用していました。あらかじめ指定した資料のみを情報源として参照する仕組みなので、出典不明の情報や信頼性の低い記述を拾ってくる心配がほとんどありません。
Excel・Python
分析にはRやStataといった本格的な統計ソフトもありますが、私は主にExcelを使い、補助的にPythonも少しだけ触りました。
文系の卒論レベルのデータ量であれば、回帰分析なども含めて、Excelで十分に対応できる場面は多いです。操作に慣れている分、学習コストが低いのも大きなメリットだと思います。
一方で、Pythonはデータの前処理や、もう一段踏み込んだ見せ方をしたいときに使用しました。大学の授業として履修した計量経済学でもPythonを使っていたため、Excelではやりにくい部分を補う用途として取り入れています。
卒論では詳細な分析よりも何を示したいのかが重要です。自分が無理なく扱えるツールを使う、という割り切り方で十分だと思います。
おわりに
大学院へ進学しない学生が大半を占める文系学部においては、卒論は単なる課題ではなく、自分の興味関心にとことん没頭し、調査・分析・考察した成果を形にする最後の機会です。小中高大と続いてきた学生生活の集大成として、ぜひ悔いの残らないように取り組んでみてください。